いつものようにTSUTAYA DISCASでDVDをレンタルしました。観たい映画のDVDをDISCASの予約リストに入れるのはいつの間にか私の役目になっているのですが、私が選んだ映画が面白くないと夫が文句を言うので、一応「何か観たい映画ある?」と聞くようにしています。でも、ほとんどの場合「特にない」という返事が返ってきます。夫は映画を観るのは好きなのですが、かなりの面倒くさがりなのです。
そんな夫が珍しく観たいと言ったのが『チャイナ・シンドローム』。
私は、それがどんな映画なのか知らなくて、てっきり新作映画なのかと思っていたのですが、DISCASで検索してみると、なんと1978年製作という古い映画でした。出演俳優はジャック・レモン、ジェーン・フォンダ、マイケル・ダグラスなど。古い映画のわりに在庫枚数に対して予約リスト1位登録者数が多いのは、この映画が原子力発電所の事故をテーマにした映画だからでしょうか。夫が興味を持ったのもそれが理由だそうです。
人気の美人テレビキャスター、キンバリー(ジェーン・フォンダ)は、フリーのカメラマン、リチャード(マイケル・ダグラス)らと原子力発電所の取材をしていた。順調に取材を進めていたキンバリーとリチャードだったが、制御室を見学している最中に異変を感じた。どうやら重大な事故が起きたようなのだが、関係者はちょっとしたトラブルで問題はないの一点張り。しかし、リチャードは撮影禁止のはずの制御室内の様子をこっそり隠し撮りしていた。テレビ局に戻ったキンバリーらは自分達が目撃した原発の事故の様子を放送しようとするのだが、上司から待ったがかかる。原発側からテレビ局の上層部に何らかの働きかけがあったのだ。さらにリチャードが撮影したフィルムは違法行為に当たるということでテレビ局に取り上げられてしまう。
キャスターの仕事を続けたいキンバリーは、上層部の言うことを聞き、放送を諦める。一方、リチャードはフィルムを盗み出してしまう。リチャードの行方を捜すキンバリーは原発の近くにあるバーに立ち寄る。そこで原発の制御室で見かけた技師の一人ジャック・ゴデル(ジャック・レモン)に会う。キンバリーは事故があったことを認めさせようとゴデルに質問を投げかけるが、ゴデルはそれをかわし、よくあるトラブルだったという主張を繰り返す。
しかし、実はキンバリー達が原発の取材をしていたあの日、事故は起きていたのだ。原子炉の水位を示す計器が高水位を示したため、それに対処するための対応をしたのだが、実は計器が壊れており、本当は限界水位ギリギリの低水位であったことが分かり、危うく原子炉の核燃料が露出し大事故になるところだったのだ。事故の日に制御室で気になる振動を感じていたゴデルは、ポンプの部品のX線写真を調べた。すると、部品の安全チェックのためのX線写真が全て同じものであったことが分かる。ゴデルは部品を納入した会社に行き、責任を追及するが、逆に脅迫されてしまう。一方、原発の管理会社は原発の運転再開を急ぐためにゴデルのポンプをチェックするべきだという忠告に耳を貸そうとしない。他に手段のなくなったゴデルは証拠のX線写真をキンバリーに渡すことにするのだが…。
昔の映画なので、ひょっとしたら淡々としていて退屈なんじゃないかと思っていましたが、とても緊迫感ある内容で最後まで強く惹きつけられる作品でした。実は、私はつい最近ニュースで聞くまで「チャイナ・シンドローム」という言葉があることを知りませんでした。当然その意味もです。映画の中で専門家がチャイナ・シンドロームについて、もしアメリカの原子力発電所の炉心が溶解するメルトダウンしたら、理論上、地球の裏側にある中国まで突き抜けてしまうというような説明をキンバリーにしていました。
それにしても、映画の中の原発の管理会社のずさんな事故対応には呆れるのを通り越して、背筋が寒くなりました。事故を公表しないどころか、事故そのものをもみ消し、ベテラン技師であるゴデルが運転再開は危険だと訴えても、検査には莫大な費用がかかると言って取りあおうとしない。おまけに新たな原発建設の許可という目先の利益しか考えていない。
出演俳優の中では、何といってもジャック・レモンの演技がすごかったです!長年勤務した原子力発電所を愛するゴデルが苦悩する姿を熱演しています。ジャック・レモンは『チャイナ・シンドローム』での演技でカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞したそうですが、それも納得の演技でした。おかげでジェーン・フォンダとマイケル・ダグラスがかすんでしまいました。
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